前回は、
「選ばれる理由は、作ることができる」
というお話をしました。
でも、正直なところ、こう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「直子さんは、16年もシフォンケーキを作っているから言えるんじゃないの?」
「長く続けてきた人だから、選ばれる商品が作れたんじゃないの?」
たしかに、今のkonayukiのシフォンケーキは、ある日突然できたものではありません。
たくさん作って、失敗して、考えて、変えて。
その繰り返しの中で、少しずつ今の形へと育ってきました。
今回は、私のシフォンケーキがどのように変化してきたのか。
そして、小麦粉から米粉へ、米粉から生米へと進んできた16年間について、お話ししたいと思います。
私のシフォンケーキには、3つの大きな変化がありました
私のシフォンケーキの歴史には、大きく分けて3つの段階があります。
最初は、小麦粉。
次に、米粉。
そして現在は、お米そのものを使って作る、生米のシフォンケーキです。
使う材料は変わってきました。
ですが、ずっと変わっていないものがあります。
それは、
「ただ軽いだけではなく、口に入れたときに感動するシフォンケーキを作りたい」
という気持ちです。
最初は、お鍋で焼く小麦粉のシフォンケーキでした
私が最初にシフォンケーキと出会った頃は、趣味でパン教室をしていました。
そのパン教室を続ける中で、たまたま出会ったのが、お鍋で焼くシフォンケーキでした。
それが、とても美味しかったんです。
パンとはまた違う、軽くてやわらかい食感。
ふわっとしているのに、口の中にしっかりと美味しさが残る。
その美味しさに惹かれ、パン教室の傍らで、少しずつシフォンケーキも作るようになりました。
当時は、事業にしようとも、専門家になろうとも思っていません。
ただ、
「もっと美味しいものを作りたい」
その一心でした。
最初に出会ったのは、お鍋で焼くシフォンケーキでしたが、やがて私は、一般的なシフォン型で焼き色をつけたシフォンケーキでも、この味わいを出してみたいと思うようになりました。
そこから、自分なりに配合を変え、何度も試作をするようになります。
少し材料を変える。
混ぜ方を変える。
焼き方を変える。
一度うまくいっても、もう少し良くできないかと、また作り直す。
その繰り返しの中で、少しずつ独自の配合が生まれていきました。
小麦粉で作っていた頃から、食べた方には、
「生クリームが入っているみたい」
と言っていただくことが多くありました。
もちろん、生クリームが入っているわけではありません。
ですが、ただふわふわしているだけではなく、口の中でじゅわっとほどけるような、濃さのある食感を作ることを大切にしていました。
今、konayukiの特徴としてお伝えしている「ふわじゅわ」という食感は、実はこの頃から少しずつ育っていたのだと思います。
米粉のシフォンケーキで、人生を立て直そうと思いました
次の大きな変化が、米粉でした。
米粉に変えたきっかけは、当時続けていたパン教室から一度退き、自分が本当に得意だったシフォンケーキで、自分の人生を立て直そうと思ったことです。
何を仕事の中心にするのか。
これから、何を専門にして生きていくのか。
自分自身に問い続けた結果、私が選んだのがシフォンケーキでした。
その中でも、当時はまだ、主流として取り組んでいる人がほとんどいなかった米粉のシフォンケーキに挑戦することにしました。
2019年の春頃、岡山で米粉の製造工場を持つ専門家の方から、グルテンや小麦について学ぶ機会がありました。
食べ物が体に与える影響や、小麦を控えたいと考える方がいること。
食事の内容を見直すことで、体調管理に取り組んでいる人がいること。
そうした話を知り、米粉を使ったメニューをもっと開発したいという気持ちが強くなっていきました。
小麦中心の食事から、米を中心とした食生活に変えたことで、体の状態や競技生活に変化を感じた著名な選手の本も紹介していただきました。
その本を読み、
「食べるものを選ぶことは、その人の暮らしや人生にも関わることなんだ」
と、深く考えるようになりました。
そして、お客様とお話しする中で、食に制限のある方や、アレルギーのあるお子さんを育てているお母さんが、想像していた以上に多いことも知りました。
「家族と同じものを食べさせてあげたい」
「安心して選べるお菓子が少ない」
「食べられるものが見つかるとうれしい」
そうした声を聞くたびに、自分が開発している商品の可能性を強く感じるようになりました。
ただ美味しいだけではなく、安心して選べるものを作りたい。
食べることを諦めている方にも、喜んでもらえるシフォンケーキを作りたい。
その思いから、私は小麦粉を使うシフォンケーキから離れ、米粉だけに切り替えることを決めました。
米粉だけに絞ることは、簡単な決断ではありませんでした
今でこそ、米粉やグルテンフリーという言葉を、さまざまな場所で見かけるようになりました。
ですが、私が米粉のシフォンケーキを本格的に始めた頃は、今ほど一般的ではありませんでした。
身近な人からは、
「今さらシフォンケーキだけで事業をするの?」
「シフォンケーキのブームは、もう終わっているよ」
「米粉なんかで、本当に勝負できるの?」
と言われたこともあります。
たしかに、不安がなかったわけではありません。
パン教室をやめて、シフォンケーキ一本に絞る。
さらに、小麦粉ではなく米粉で勝負する。
周りから見れば、わざわざ細い道を選んでいるように見えたかもしれません。
ですが、私はその言葉を聞くたびに、逆に燃えていました。
「だったら、誰もやっていないくらい、本気でやってやろう」
そう思ったんです。
誰もやっていないなら、比べる相手はいない。
まだ大きな市場になっていないなら、自分がその市場を作ればいい。
そう考えながら、米粉のシフォンケーキに向き合い続けました。
そして出会った、生米のシフォンケーキ
米粉の次に出会ったのが、生米です。
私の実家は農家で、毎年お米を送ってくれます。
いつも食事としていただいていた、そのお米を見ながら、
「このお米を、粉にせず、そのままシフォンケーキにできないだろうか」
と思ったことが始まりでした。
実際に試してみると、お米そのものからシフォンケーキを作ることができました。
これは、私にとって大きな衝撃でした。
米粉を買って作るのではありません。
お米を浸水させ、そのお米を使って生地を作る。
私たちが普段食べているお米が、そのままシフォンケーキになるのです。
さらに実験を重ねる中で、産地や品種が変わっても、一定の条件を整えることで、安定してシフォンケーキを作れることが分かってきました。
もちろん、お米ごとに特徴はあります。
ですが、限られた一種類のお米でなければ作れないというものではありませんでした。
お客様の地域で作られているお米。
農家さんから直接仕入れたお米。
実家で育てられたお米。
そうしたお米を使って、シフォンケーキを作ることができる。
私はそこに、米粉とはまた違う、大きな可能性を感じました。
製菓の常識だけでは生まれなかったシフォンケーキ
私は、一般的な製菓理論だけを基準にして、生米のシフォンケーキを作ったわけではありません。
シフォンケーキ一本で長く歩み、何度も失敗し、生地の小さな変化を見続けてきました。
今日は卵の状態が違う。
今日は水分の入り方が違う。
素材を加えたことで、生地の重さが変わった。
焼き上がりの高さは同じでも、口どけが違う。
そのような違いを、長い時間をかけて体で覚えてきました。
その積み重ねがあったからこそ、生米を使ったシフォンケーキでも、さまざまなアレンジを作ることができました。
米粉の代わりに、ただお米を使っただけではありません。
お米だから出せる食感。
お米だから引き出せる素材の味。
お米だから生まれる、しっとり感。
それらをシフォンケーキとして成立させる配合を、少しずつ形にしていきました。
この生米シフォンのアレンジの広がりは、16年間シフォンケーキだけを見続けてきた私だからこそ作れたものだと思っています。
米粉より、さらにしっとりした食感
生米のシフォンケーキには、米粉のシフォンケーキとはまた違う魅力があります。
ふわふわなのに、しっとりしている。
口の中でやわらかくほどけるのに、しっかりとした存在感がある。
素材の味が、ぎゅっと凝縮されて感じられる。
食べた瞬間に、
「これは、今まで食べたシフォンケーキとは違う」
と感じていただける食感です。
生米を使えば、どんなシフォンケーキでも同じように仕上がるわけではありません。
水分の量。
お米の状態。
卵との組み合わせ。
素材の加え方。
混ぜる順番。
焼き方。
さまざまな条件が重なって、初めて今の食感になります。
この食感は、私が長い時間をかけて作り上げた配合で、生米から作るからこそ生まれるものです。
小麦粉から始まり、米粉を経て、生米へ。
この16年は、シフォンケーキの専門家として、
「どんな素材でも、まずは向き合ってみよう」
と思える自信を育ててくれた時間でもありました。
売れるメニューは、85種類以上になりました
現在、konayukiには、米粉と生米を合わせて、販売商品として育ててきたメニューが85種類以上あります。
季節の果物や野菜。
濃厚な抹茶。
香ばしいほうじ茶。
極上の濃厚チョコレート。
チーズ。
そして、ときにはハーブも使います。
野菜のシフォンケーキと聞くと、
「え、野菜をシフォンにするの?」
「それは、あまり買わないかも」
と思われるかもしれません。
でも、実際に食べていただくと、とても喜ばれるんです。
野菜の青臭さを強く感じるものではありません。
素材の特徴を残しながら、シフォンケーキとして美味しく食べられるように整えています。
赤ちゃんでも食べやすいもの。
食に制限のあるお子さんにも選んでいただきやすいもの。
やわらかいため、かむ力が弱くなってきたご年配の方にも喜んでいただけるもの。
シフォンケーキは、ただのおやつではありません。
年齢や暮らしの違う人たちを、同じテーブルでつなぐことができる食べ物だと、私は思っています。
お客様から、
「こんなシフォンケーキ、食べたことがありませんでした」
と言っていただけることがあります。
その言葉が、私にとって何よりの原動力です。
16年かけて作った土台を、次の人へ渡していきたい
16年かけて積み上げてきた、このレシピと技術。
私は、この技術を私だけのものにしておくつもりはありません。
同じように、
「おうちから、自分のお店を育てたい」
「自分の得意なことを仕事にしたい」
「誰かに喜んでもらえる商品を届けたい」
と思っている方に、この土台を使ってほしいと考えています。
もちろん、ゼロから一人でレシピを開発し、一人で試行錯誤しながら自分の商品を作る道もあります。
それは、とても価値のある道です。
ですが、すでにお客様に喜ばれている味や、長い時間をかけて作られた技術、販売までの仕組みを使いながら、自分のお店を育てていく道もあります。
ゼロから一人で始めるのではなく、すでにある土台の上に、自分の得意なことや、自分らしいお店の魅力を重ねていく。
それも、これからの開業の一つの形だと思っています。
私のおうちテイクアウトでは、一度の販売告知を見て、兵庫県や広島県から、車で買いに来てくださるお客様がいます。
商品代だけではありません。
高速道路代やガソリン代、移動の時間も使って来てくださいます。
なぜ、そこまでして来てくださるのか。
それは、
「ここでしか買えない」
と思っていただける商品と、これまで積み上げてきた信頼があるからです。
その信頼は、一日でできたものではありません。
16年という時間の中で、少しずつ積み上げてきたものです。
その信頼と技術を、これからは皆さんの地域でも、一緒に育てていきたいと思っています。
このシリーズの後半では、その仕組みについても、さらに詳しくお話ししていきます。
流行を追って、材料を変えたわけではありません
小麦粉から米粉へ。
米粉から生米へ。
こうして振り返ると、その時々の流行に合わせて、材料を変えてきたように見えるかもしれません。
ですが、私にとって、この変化は流行を追った結果ではありません。
自分の舌を信じること。
これから必要とされるものを考えること。
お客様の声に耳を傾けること。
そして、今よりもっと喜んでいただける商品を作ること。
その積み重ねの中で、少しずつ変化してきた16年でした。
変わることは、これまで作ってきたものを否定することではありません。
小麦粉で作ってきた時間があったから、米粉で新しい食感を作ることができました。
米粉に向き合ってきた時間があったから、生米の可能性に気づくことができました。
すべての経験がつながって、今のkonayukiのシフォンケーキがあります。
次回は、このkonayukiのシフォンケーキが、なぜ高い利益を残しやすい商品なのか。
おうちテイクアウトで実際に販売した場合、売上や材料費、利益がどのようになるのか。
「利益率8割」という、リアルな数字を使ってお話しします。
美味しいものを作ることと、それを仕事として続けられることは、同じではありません。
次回は、商品を事業として育てるために欠かせない、お金の話です。
ぜひ次回もご覧ください。
YouTubeチャンネルでは、おうちテイクアウトの始め方や、選ばれる商品づくり、販売を長く続けるための考え方を、全12話でお届けしています。
チャンネル登録をして、続きをお待ちいただけるとうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
konayukiの直子でした。
konayukiの共創型フランチャイズ開業についてご興味のある方へ
ただいま、9月の講座生募集に向けて、セミナー・説明会の開催を予定しています。
「開業なんて、まだ先の話」
という段階の方も大丈夫です。
・自分にもできるのか聞いてみたい
・費用や準備の流れを、ざっくり知りたい
・話を聞いてから考えたい
そんな「まだ迷っている段階」こそ、いちばん相談していただきたいタイミングです。
個別相談では、konayukiの共創型開業の仕組み、開業までの流れ、費用のこと、そして、あなたの今の状況に合わせた進め方を、代表の私が直接お話しします。
無理な勧誘は一切いたしません。
お話しした上で、
「今じゃない」
と感じたら、それもひとつの答えです。
相談は、公式LINEからお申し込みいただけます。
まずはご登録後、
「説明会」
とメッセージをいただけましたら、直子本人から直接ご案内メッセージを送らせていただきます。
⇒ ★


