グルテンフリー・ノンオイルで、なぜ利益率8割が出るのか

粉雪シフォンの日常

前回は、小麦粉から米粉へ、そして米粉から生米へと変化してきた、konayukiのシフォンケーキの16年間についてお話ししました。

長い時間をかけて、何度も試作を重ねながら作ってきた、米粉とお米のシフォンケーキ。

ですが、どれほど美味しい商品でも、お客様に喜んでいただける商品でも、それだけで事業を続けられるわけではありません。

仕事として長く続けるためには、きちんと数字が残ることが大切です。

そこで今回は、少し現実的なお金の話をします。

おうちで始めるテイクアウト販売は、実際にどのくらいの売上を作れるのか。

シフォンケーキを販売したとき、材料費を引いたあとに、どのくらいのお金が残るのか。

そして、なぜkonayukiのシフォンケーキは、高い利益率を出しやすいのか。

実際の販売価格を使いながら、お話ししていきます。

スイーツ販売は、売上がそのまま残るわけではありません

スイーツを販売する仕事の利益率は、どのくらいだと思いますか?

商品が1,000円で売れたからといって、その1,000円がすべて自分の収入になるわけではありません。

商品を作るためには、材料費がかかります。

店舗を借りていれば、家賃がかかります。

スタッフを雇っていれば、人件費も必要です。

さらに、光熱費、包装資材、厨房機器、広告費、交通費など、さまざまな経費が発生します。

一般的なお菓子屋さんやカフェの場合、商品の原価だけではなく、店舗を維持するための費用も大きくなります。

そのため、1,000円を売り上げても、すべての経費を引いていくと、

「思っていたほど手元に残らなかった」

ということが起こります。

そこで価格を下げてしまうと、たくさん売らなければ利益が出ない、薄利多売の商品になってしまいます。

たくさん作る。

たくさん販売する。

それでも、利益はあまり残らない。

これでは、体力も時間も使うのに、生活できる収入にはなりにくくなります。

一方で、konayukiのシフォンケーキは、商品によって違いはありますが、材料費を差し引いた段階で、おおむね7割から8割ほどを残しやすい商品です。

プレーンのように材料がとてもシンプルな商品では、さらに高い割合になることもあります。

なぜ、このような数字が出せるのでしょうか。

そこには、大きく3つの理由があります。

理由1.材料がとてもシンプルだから

一つ目の理由は、材料がシンプルであることです。

konayukiのシフォンケーキは、グルテンフリーでノンオイルです。

基本となる材料は、

・米粉、またはお米
・卵
・砂糖
・水分
・季節の食材

とてもシンプルです。

一般的に、健康を意識したスイーツを作ろうとすると、体への負担が少ないとされる油や、特別な材料を使うことがあります。

ですが、質の良い油や特別な材料は、価格が高くなりやすいものです。

健康に配慮した商品にしたいと思うほど、材料費が上がってしまうこともあります。

konayukiのシフォンケーキは、もともと油を使いません。

油を使わなくても、ふわっとしていて、口に入れるとじゅわっとほどける食感を作れるように、長い時間をかけて配合を整えてきました。

グルテンフリーで、ノンオイル。

材料はシンプルなのに、食べたときの満足感は高い。

これが、健康面だけではなく、事業としても大きな強みになります。

さらに、生米シフォンの場合は、普段食べているお米を使って作ることができます。

私の場合は、実家が農家なので、毎年送られてくるお米を使うこともあります。

地域の農家さんのお米や、地元で作られたお米を使うこともできます。

材料の仕入れ方を工夫すれば、原価を抑えながら、その地域ならではの商品を作ることも可能です。

理由2.大がかりな厨房機器を必要としないから

二つ目の理由は、設備投資を抑えやすいことです。

スイーツのお店を始めると聞くと、

「大きな業務用オーブンが必要なのでは?」

「何百万円もする厨房機器をそろえなければいけないのでは?」

と思われる方も多いと思います。

もちろん、営業許可を取るためには、地域の保健所が定める基準に合わせて、製造場所を整える必要があります。

家庭用のキッチンで、普段の家族の食事を作りながら、そのまま販売できるという意味ではありません。

販売用の厨房として、必要な設備や区分を整えることは必要です。

ですが、シフォンケーキを作るために、大がかりな機械を何台もそろえる必要はありません。

基本的には、オーブンと電動ミキサーがあれば作ることができます。

もちろん、販売数が増えれば、作業台や冷蔵庫、包装のための道具など、必要な設備は増えていきます。

それでも、パン屋さんのように大型のこね機や発酵機が必要なわけではありません。

ケーキ店のように、何種類もの大型機器やショーケースを最初から用意する必要もありません。

自宅の一室や、自宅に隣接した小さなスペースを、製造許可が取れる状態に整える。

そして、小さく販売を始める。

これができるため、最初に抱える固定費を抑えやすいのです。

毎月の家賃や大きな借入金を背負わずに始められることは、売上がまだ安定していない開業初期において、とても大きな意味があります。

理由3.価格を下げなくても選ばれる商品だから

三つ目の理由は、価格を下げなくても売れる商品であることです。

私は、この理由が一番大切だと考えています。

どれだけ材料費を抑えても、安くしなければ売れない商品では、利益を残すことはできません。

価格を下げる。

もっと安くする。

サービスを増やす。

このような競争を始めると、必ず限界が来ます。

konayukiのシフォンケーキは、前回のお話でもお伝えした通り、小麦粉から米粉へ、そして生米へと、16年かけて育ててきた商品です。

米粉やお米を使っている。

グルテンフリーである。

ノンオイルである。

それだけではありません。

ふわふわなのに、しっとりしている。

口の中でじゅわっとほどける。

素材の味がしっかりと感じられる。

一般的なシフォンケーキのイメージを超える食感を目指して、配合と技術を積み上げてきました。

特に、シフォンケーキを自分で作った経験がある方ほど、konayukiのシフォンケーキを食べたときに驩かれます。

「どうやって作っているんですか?」

「この食感は、どうしたら出せるんですか?」

「レシピを教えてほしいです」

そう言っていただくことも少なくありません。

ほかのお店でも買える商品であれば、お客様は価格を比べます。

ですが、

「ここでしか買えない」

「この食感は、ほかにはない」

と思っていただける商品は、単純な価格競争に巻き込まれにくくなります。

安くしなければ売れない商品ではありません。

むしろ、その商品が持つ価値に合った価格をつけることが必要です。

安売りをしないことは、作り手の利益を守るためだけではありません。

商品の品質を守るためでもあります。

材料の質を落とさない。

無理な数を作らない。

お客様に安心してお渡しできる状態を守る。

そのためにも、適正な価格をつけることが必要なのです。

利益率7割から8割には、きちんと根拠があります

「利益率が7割から8割ある」と聞くと、

「本当にそんなに残るの?」

と思われるかもしれません。

この数字には、きちんと根拠があります。

konayukiの商品の中でも、特に安定して売れやすいのがプレーンのシフォンケーキです。

プレーンは、使う材料がとても少なく、基本となる材料は5つほどです。

余分なものを入れず、シンプルな材料で作るため、材料原価を抑えやすい商品です。

一方で、濃厚なチョコレートやチーズ、抹茶、季節の果物などを使った商品は、プレーンより材料費が高くなります。

材料費のかかる濃厚系の商品では、材料原価を引いた割合が7割ほどになることもあります。

しかし、プレーンのように原価を抑えやすい商品では、8割から9割ほど残る場合があります。

つまり、材料費の低い商品と、材料費は高いけれど単価も高くできる商品を組み合わせて販売することで、全体として7割から8割程度の数字を作りやすくなるのです。

すべての商品を同じ原価率にする必要はありません。

プレーンで利益を支える。

濃厚系や季節商品で、選ぶ楽しさと特別感を作る。

この組み合わせが大切です。

また、材料費のかかる商品を単品で頼まれた場合は、その商品に合った価格をつけます。

お客様が、

「この商品が食べたい」

「ほかでは買えないから欲しい」

と思ってくださる商品であれば、価格が少し高くても、その理由を理解していただけます。

商品ごとの原価をきちんと計算し、価値に合った価格をつける。

これが、利益を残しながら長く販売を続けるための基本です。

1台で約5,000円の売上になるシフォンケーキ

ここからは、もう少し具体的な数字でお話しします。

konayukiのシフォンケーキは、17センチのトール型で焼いた場合、1カット400円前後が基本価格です。

18センチのトール型になると、使う材料も増え、カットも大きくなるため、1カット500円から550円ほどで販売できます。

18センチのトール型から、約10カット取れるとします。

1カット500円で販売した場合、

500円 × 10カット = 5,000円

1台で、約5,000円の売上になります。

これを一度の販売で10台用意したとします。

5,000円 × 10台 = 50,000円

1回のオープンで、5万円の売上です。

仮に、材料費を差し引いたあとの割合が8割であれば、材料原価を引いた段階で、約4万円が残ります。

もちろん、ここから包装資材、光熱費、決済手数料、そのほかの運営費などを考える必要があります。

そのため、4万円がそのまま最終的な手取りになるという意味ではありません。

ですが、商品そのものに高い粗利益を確保できることは、小さな事業を続ける上で大きな強みになります。

週に1回の販売なら、月に4回。

週に2回なら、単純に販売の機会は2倍になります。

さらに、予約販売、ホール販売、セレクトボックス、季節のギフトなどを組み合わせることで、客単価を上げることもできます。

ただ販売回数を増やすのではなく、

「一度の販売で、どのくらいの売上を作るか」

「お客様一人に、どのくらい買っていただくか」

を考えることで、体力を消耗しすぎずに売上を作ることができます。

月100万円は、ただの夢ではありません

実際に、私の生徒さんの中には、月100万円規模の利益を目標として動いている方もいます。

もちろん、開業した最初の月から、誰でもすぐにその数字に届くわけではありません。

商品を安定して作れるようになること。

お客様に知っていただくこと。

一度買ってくださった方に、また来ていただくこと。

予約の取り方や製造の流れを整えること。

販売日ごとの目標を決めること。

そうした準備を一つずつ積み上げていく必要があります。

ですが、1台の売上、一度の販売で作れる金額、毎月の販売回数を分けて考えると、目標までの道筋が見えるようになります。

たとえば、月100万円の売上を目指すのであれば、

一度の販売でいくら売るのか。

月に何回販売するのか。

ホール商品やギフトを、どのくらい組み合わせるのか。

数字を細かく分けて考えます。

「月100万円」とだけ聞くと、とても大きな数字に見えます。

ですが、

「1回の販売で5万円」

「月に8回で40万円」

「そこに予約販売やギフトを加える」

と分解すると、何を増やせばよいのかが分かってきます。

正しい商品と仕組みを持ち、段階を踏んで積み上げていけば、決して夢だけの話ではありません。

初日即完売は、利益率だけで起きたことではありません

私自身がおうちテイクアウトを始めた初日は、ありがたいことに、用意したシフォンケーキが完売しました。

岡山県内だけではなく、兵庫県や広島県から、わざわざ車で来てくださったお客様もいました。

ですが、利益率の高い商品だったから、お客様が県外から来てくださったわけではありません。

お客様は、私のお店の利益率を知りません。

それでも来てくださった理由は、

「ここにしかない商品だから」

「このシフォンケーキを食べたいから」

「直子さんから買いたいから」

と思っていただけるものがあったからです。

商品にほかにはない価値がある。

そして、その商品を作る人やブランドが信頼されている。

この二つが重なったときに、売上という数字がついてきます。

利益率が高い商品を作ることだけを考えても、売れなければ意味がありません。

反対に、たくさん売れても、利益が残らなければ続けることができません。

売れる商品であること。

利益が残る商品であること。

お客様から信頼されること。

この3つがそろって、初めて仕事として成り立ちます。

利益率が高いとは、努力が報われやすいということ

利益率が高いという言葉を聞くと、

「たくさんもうけられる」

という部分だけが目立つかもしれません。

ですが、私が一番大切だと思っているのは、努力が報われやすい仕組みであることです。

同じ時間を使って商品を作るのであれば、きちんと利益が残る商品を作る。

材料費が上がったときにも、品質を落とさず対応できる余裕を持つ。

働いた分が、生活や次の挑戦につながるようにする。

事業を続けるためには、この視点が欠かせません。

一生懸命作っている。

お客様にも喜ばれている。

毎回完売している。

それなのに、通帳にはお金が残っていない。

この状態では、どれほど好きな仕事でも、いつか続けられなくなります。

だから私は、開業を考える方には、技術だけではなく、数字についても知ってほしいと思っています。

おうちテイクアウトは、大きな店舗を持たないからこそ、固定費を抑えやすい仕事です。

そして、材料がシンプルで、価格競争に巻き込まれにくい商品を扱うことで、小さな販売でも利益を残しやすくなります。

自宅から始める小さなお店でも、生活につながる収入を作ることはできます。

それが、konayukiのシフォンケーキで実現できることの一つです。

体へのやさしさが、事業としての強さにもなる

今回お伝えしたかったのは、グルテンフリー・ノンオイルという素材へのこだわりが、健康面だけではなく、事業としての強さにもつながっているということです。

米粉やお米、卵、砂糖、季節の食材という、シンプルな材料。

大がかりな機械を必要としない製造方法。

そして、ほかにはない食感と商品価値。

この3つが重なることで、高い粗利益を確保しやすくなります。

美味しい。

体にやさしい。

お客様に驚いていただける。

そして、作り手にも利益が残る。

これは、偶然完成したものではありません。

16年間、シフォンケーキに向き合い、味、食感、材料、作り方、販売方法を積み上げてきた結果です。

ただ、ここまでの話を聞いて、

「これを全部、一人でやるのは大変なのでは?」

と思った方もいるのではないでしょうか。

その通りです。

商品を作る。

価格を決める。

厨房を整える。

販売の準備をする。

写真を撮る。

SNSで発信する。

予約を管理する。

お客様に対応する。

一人で全部を背負うのは、本当に大変です。

次回は、おうちテイクアウトを始めた方が、途中でやめたり、活動を縮小したりしてしまう理由についてお話しします。

商品の味や技術が足りないからではありません。

多くの方を苦しめるのは、一人で考え、一人で決め続ける「孤独」です。

一人でやることには、どこで限界が来るのか。

そして、長く続けるためには何が必要なのか。

私自身の経験も交えながらお伝えします。

YouTubeチャンネルでは、おうちテイクアウトを仕事として育てるために必要な商品、数字、販売、発信、仲間について、全12話でお届けしています。

ぜひチャンネル登録をして、次回もご覧ください。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

konayukiの直子でした。


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